線は、僕を描く
原作・水墨画監修:砥上裕將 漫画:堀内厚徳
2020.10.18 Sun
「ちょっと待って・・・もう少し、彼と話をしたいんだ」
大きな喪失感の中で生きる大学生・青山霜介は、水墨画の巨匠・篠田湖山に見いだされ突然弟子にされてしまう。
芸術のことなど何一つ知らなかった霜介は、たちまち見知らぬ水墨の世界に魅了されていく──。
それは、“白”と“黒”で“宇宙”を描く芸術。
墨と筆を道連れに、傷だらけの少年は、生命を取り戻す旅に出る。
青春×水墨画、成長と恢復の物語。前代未聞の本格水墨画漫画!
篠田湖山はなぜ霜介に声をかけたのか。物語が今、動き出す──。
出典:『線は、僕を描く』第1巻 ©Hiromasa Togami/Atsunori Horiuchi/講談社
喪失感の中で生きる霜介の物語は、水墨画展の設営アルバイトで水墨画の巨匠・篠田湖山との偶然の出会いから静かにはじまる──。
食後に連れ出された水墨画展で芸術のことなど何一つ知らない霜介だが彼の感性を見いだした湖山は、その場で彼を内弟子にする。しかし、湖山の孫娘・千瑛はこれに反発。翌年の水墨画家にとって最大のタイトルのひとつ「湖山賞」をかけて勝負することになる。
霜介の抱えてる喪失感と孤独。水墨とは──。
"なにか"から逃れるように霜介は夢中で筆を走らせる日々を送る。しかし、水墨が上達していくほど彼の作品は酷く、悲しい作品に仕上がっていく。霜介の中で抱える悲しみがまだ続いてることに千瑛は気づき、戸惑う。水墨が問う。霜介の世界が、静かに、少しずつ、輪郭を取り戻していく──。
出典:『線は、僕を描く』第1巻 ©Hiromasa Togami/Atsunori Horiuchi/講談社
物語序盤だけを読むと芸術バトルの王道マンガに思えるが、物語は思わぬ方向へ──。
原作者も水墨画監修として参加のコミカライズ作品
水墨画家で小説家の砥上裕將(とがみ・ひろまさ)氏のデビュー作『線は、僕を描く』をマンガ化された作品。本作の注目ポイントは物語はもちろんのこと、作中に登場する水墨画は原作者であり、水墨画家として活躍されてる砥上裕將氏が監修されたもの。実際に水墨画界で活躍されてる方だけあって、作中の水墨画は漫画の中に登場させるには収まりきれない画力に目を奪われます。
著者による水墨画「春蘭」(左)「山葡萄」(右)
YouTube動画では原作者の砥上裕將が作品内に登場する水墨画から春蘭と菊を描く動画が講談社から配信されています。一筆書きの美しさは必見です。
読者の口コミ評価
これ以上ないというくらいまっすぐな人間賛歌の作品。それぞれがそれぞれの道を進む姿が描かれています。どれが良いとか悪いではなく、皆の生き方、貫き方、葛藤が魅力的です。書を通して浮かび上がる自分自身に真摯に向き合う人たちの世界です。
出典:https://www.amazon.co.jp
これ程、美しい漫画を他に知らない。 全てに通づるお話を、水墨というあまり馴染みのない世界を通して、伝えてくれるもの。 美。 なによりもその言葉が相応しく、これ程その言葉の意味を心に響かせられた漫画は、他に知らない。
出典:https://www.cmoa.jp/
この作品に出会えて心から良かったと思える。
出典:https://www.youtube.com
巻数 | 全4巻 |
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掲載誌 | 週刊少年マガジン |
連載期間 | 2019年6月19日~2020年2月12日 |
アニメ化 | × |
実写化 | × |
ジャンル | ドラマ |
出版社 | 講談社 |
©Hiromasa Togami/Atsunori Horiuchi/講談社