ピカロ
著者:白瀬透
2021.02.13 Sat
「真犯人よ、見ているか。」
あいつは今も、霧の中だ。
疑問符が渦巻く、昭和史の闇へ。
謎の匿名作家が描く、昭和最大の「未解決事件」!
その真犯人を……追え!
"なら私を・・・書いてみませんか・・・?"
売れないフリーライター・安住純はBARで知り合った謎の女性に自分のことを書いてほしいと頼まれる。依頼を受けた安住は話を聞くため彼女の部屋を訪れたが、そこへ何者かが玄関のチャイムを鳴らし部屋へ侵入しようとする。何かに勘付いた彼女はとっさに"ある物"を安住に託して1984年の大阪へタイムスリップさせる。突然の出来事に混乱する安住、そして彼女には声帯がなかった・・・。
出典:『ピカロ』第1巻 ©白瀬透/小学館
2ヶ月後に起こる"昭和最大の未解決事件"
日本中で知っているのはただ一人、未来から来た自分だけ…。
バブル前夜の浮かれた時代であり、太平洋戦争からまだ40年足らずという昭和の終盤、水面下では今も語り継がれる昭和最大の未解決事件「オギリ・東亜事件」が着々と計画されつつあった。これから起きる事件のことを知っているのは、犯人と現代からやってきた安住のみ。
真相をスクープすべく、安住は動き始める。果たして事件の真犯人は誰だったのか?そして謎に包まれたその動機は?しかし、真相へ近づいていくうちに事件の結末を知ってる未来人の安住さえ思いもよらない巨大な闇が待ち受ける。その闇は戦中の満州にまで遡り、驚くべき因縁の連鎖が存在した──!?
2月13日は「グリコ・森永事件」が時効を迎えた日
21年前の2000年2月13日、「グリコ・森永事件」が時効を迎えた。
「謎の匿名作家」という触れ込みの著者・白瀬透の『ピカロ』は、実在した戦後最大の劇場型犯罪をモチーフにした野心作である。実際に起きた事件に着想を得た作品となっているが、その内容はあまりにも否定しきれるようなフィクションではない。白瀬透は本作の連載終了後に自身のTwitterの更新はなく、現在は活動をしていないため消息は不明。本作第1巻の帯に書かれた「真犯人よ、見ているか。」と、メッセージ性の強い言葉はどういう意図があったのか。
《グリコ・森永事件》
1984年3月18日21時頃、自宅で子どもたちと入浴中だった江崎グリコの社長・江崎勝久を拉致した犯人グループは身代金として現金10億円と100キロの金塊を要求。運搬の困難な身代金を本気で要求していたのか疑問が残るなか、グリコはすべて用意。しかし江崎社長は自力で脱出を敢行、3日後に大阪貨物ターミナル駅で無事に保護された。事件はこれで解決に向かうと思われたが、江崎社長宅に6000万円を要求する脅迫状が届き、各マスコミへ「かい人21面相」を名乗る犯人グループからの挑戦状が送りつけられる。その後、犯人グループは江崎グリコ本社放火事件、兵庫青酸菓子ばらまき事件、寝屋川のアベック襲撃事件、丸大食品脅迫事件、森永製菓脅迫事件、ハウス食品脅迫事件、不二家脅迫事件、駿河屋脅迫事件といった一連の脅迫を立て続けに起こし、世間を震撼させた。ところが1985年8月、「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」と、犯人グループから突然の終息宣言が出される。警察130万人体制で捜査が行われたこの事件は2000年2月13日に時効を迎えて完全犯罪となり、未解決事件となった。
引用元:Wikipedia
読者の口コミ評価
風景が素晴らしい。橋の向こう、雨にかすむ工業地帯の遠景とか、店内の湿った感じとか「あの時代」が実在のものとして主人公を圧倒していく様は秀逸だった。昭和がモヤっと、全身にまとわりついて毛穴に入り込んでくる、というか。次々に出てくるキャラたちの「出てきた」というより「そこにいた」感もいい。あの時代に根ざし生きていた人々という感じ。
出典:https://www.amazon.co.jp
ほんとうにこういう筋書きだったのか、この事件は、と思わせるほどの吸引力。1巻から再読必須。
出典:https://bookmeter.com
表紙のデザインがもっと良ければ現状の10倍は売れたのになぁー(*´ェ`*)
出典:https://bookmeter.com
巻数 | 全3巻 |
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掲載誌 | 週刊ビッグコミックスピリッツ |
連載期間 | 2013年9月2日~2014年7月28日 |
アニメ化 | × |
実写化 | × |
ジャンル | ミステリー |
出版社 | 小学館 |
©白瀬透/小学館
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