往年の競馬ファンをも熱く感動させた作品『ウマ娘プリティーダービー』の魅力に迫る
2020.07.05 Sun
更新:2020.09.23 Wed
『ウマ娘 プリティーダービー』のシリアスな部分を抜きにキャラクター達のゆるい学園ライフをショートアニメ化されたTVアニメ『うまよん』がついに最終回を迎えた。
YouTubeでは最終回に合わせて『ぱかライブTV Vol.1 アニメ「うまよん」最終回を一緒に観よう&最新情報お届けSP』がLIVE配信。ウマ娘の声優陣がTVアニメ『うまよん』最終回の放送前に、作品について語ったり、ゲームで勝負をしたりと楽しめる内容だった。
こちらのLIVE配信内で『ウマ娘 プリティーダービー』のシーズン2の放送がサプライズ発表。
TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』ティザーPVはこちら!
PVからすでに名作の予感を感じさせるシーズン2の紹介にファンは大興奮。すでにレコーディングも順調に進んでおり、来年2021年の放送が待ち遠しい。
そこで今回は前作『ウマ娘 プリティーダービー』の魅力をこれからシーズン1、シーズン2と観る人のために、1話中心にネタバレ控えめで紹介していきます。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
2016年から始まったCygamesが贈るスマートフォン向け育成シミュレーションゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(2020年リリース予定)を中心としたメディアミックスコンテンツの中の一つとして2018年に放送されたのがTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』だ。
ウマ娘
本作の世界は我々の現実世界を別世界とし、別世界(現実世界)で実在した競走馬の名前と魂を受け継いで生まれてきた擬人化の少女達”ウマ娘”が存在する。この世界に動物の「馬」は存在しない。外見は腰から馬のような尻尾が生え、馬のような耳が頭頂部付近にあり、超人的な走力を有するが、それ以外は普通の女の子である。登場人物一人ひとりが実際の馬の特徴を参考にしたキャラクターデザインがされており、実際の馬体の色や額の模様、鼻のライン、勝負服などが細かく表現されている。
ストーリー
物語は主人公・スペシャルウィークが日本一のウマ娘を目指し、養成学校「トレセン学園」へと転入のため上京してくるところから始まる。シリーズの開催日であったことから学園近くの「東京競馬場」へ向かう。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
そこでレースに出場したサイレンススズカの走りを目にしたスペシャルウィークは彼女に憧れを抱き目標とする。後にサイレンススズカとは寮で同室、さらに同じチーム〈スピカ〉のチームメイトとなって、時に競い合い、互いに高めあってレースに挑んで成長していくのが物語の本筋だ。
主人公とチーム〈スピカ〉のメンバー達
スペシャルウィークたちが所属する、新進気鋭のチーム〈スピカ〉のメンバー達を紹介しよう。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
主人公の1人、スペシャルウィークは北海道の田舎から上京してきた、明るく前向きな性格でちょっとドジだけど素直で頑張り屋。東京に出るまで他のウマ娘に一度も会ったことがなく、同年代の友達もいなかった。生みの母親は彼女が生まれてすぐに亡くなったため、人間の母親に育てられた。
ウマ娘のスペシャルウィークは実在した同名の競走馬の出産エピソードもしっかり再現されている。
《スペシャルウィーク》
90年代を代表する名馬スペシャルウィークは1995年、北海道門別町の日高大洋牧場にて誕生。母・キャンペンガールは受胎中に疝痛を頻繁に起こすようになり、獣医からは腸の一部が壊死していると診断される。出産時には今までにないほどの苦しみ方でもがき始め、牧場スタッフ・獣医ら総出で出産を促し、スペシャルウィークは誕生したが、出産の5日後キャンペンガールは死亡。牧場ではあまり他の馬たちと行動を共にすることがなく、いつもひとりで遊んでいた。乳母の気性がきつかったため、人の手をかけて育てられた。
引用元:Wikipedia
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
もう1人の主人公、サイレンススズカはスペシャルウィークの1年先輩にあたり、トレセン学園最強チーム〈リギル〉に所属。しかし、訳あって〈スピカ〉へ移籍し、スペシャルウィークとチームメイトであり、ルームメイトとなる。彼女の物語をどのように最後まで描かれるかが本作アニメの1番の注目ポイントと言って間違いないだろう。
《サイレンススズカ》
悲運の最期を遂げた名馬。戦績は16戦9勝と、負けが続いたのは大逃げを打つ戦法に活路を見出した武豊とコンビを組む前のデビューした1997年のみ。1998年は無敗の6連勝中で臨んだ天皇賞(秋)のレースで1000m通過タイム57秒4とコースレコードを記録する速さで2番とは10馬身も離してたが4コーナーの手前で突然の失速。左前脚の手根骨粉砕骨折を発症し、競走を中止。予後不良と診断され安楽死の処置がとられた。中継の実況にて「沈黙の日曜日」の発言がそのままこのレースを表現するものになった。
引用元:Wikipedia
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
歌とダンスが上手いトウカイテイオーは生徒会長のシンボリルドルフに盲目的な憧れを抱いており、シンボリルドルフと同じ”無敗の三冠ウマ娘”になることが目標。本編ではすでに怪我をしており、リハビリ中。アニメでは歌とダンスが上手いキャラクターとして描かれているが史実では”テイオーステップ”という踊りのようなウォークは競馬ファンの間では有名。また、シンボリルドルフは史実では親子関係でトウカイテイオーの父。
ウオッカ&ダイワスカーレット。史実では永遠のライバル関係と言われるほど2頭は壮絶な1着争いのレースを何度も演じた。最後の対決となった2008年天皇賞(秋)の対決は語り草。アニメでは同じチームメイトとして2人の関係が描かれている。
ゴールドシップ&メジロマックイーン。2人は史実では血縁関係でゴールドシップはメジロマックイーンの孫。ゴールドシップが産まれた時にはメジロマックイーンは死去している。実現するはずがなかった芦毛のヒーロー2頭の絡みがウマ娘の世界で描かれている。実名の競走馬同様にゴールドシップの自由奔放な性格はアニメでも健在だ。
史実とifが交差する白熱のレース
ウマ娘たちが走るのは実在するタイトルレース(有馬記念、皐月賞、ジャパンカップなど)。競馬に詳しければゲート番号や着順予想が楽しめる。当時の実況や、レース展開は驚くほど細部までこだわった再現度でファンは当時の熱を思い出したのではないだろうか。また、長い歴史の中で紡がれた競馬の物語性にフィクションならではのifを盛り込むことで、よりドラマチックな展開を生み出している。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
競走馬の名前と魂を受け継いだウマ娘たちが運命を辿るようなレース展開をするのか。あるいはifの展開で予想は裏切りつつ、期待は裏切らない結果を出すのか。競馬はどうなるか分からないことを楽しむエンターテインメント。このアニメも最後はどうなるか分からない。史実を取り入れながら、そこから予想できないifの展開を盛り込むことで競馬ファンはもちろん、競馬を知らない人でも響く作品に仕上がっているのが魅力的な部分だ。
スポーツとアイドルを融合させたライブステージ
ウマ娘たちはその競走能力によってアイドル的な人気を誇り、レースに勝利すると”ウイニングライブ”と呼ばれるライブステージに立つ権利が与えられ、勝者はセンターに立つことができる。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
レースが題材だからこそ勝ち負けのある世界観は自然と熱い物語になるがギスギスしてしまう。そんな世界観を取り除くためライブステージ要素が取り入れられていることにより勝負に決着がついた後に遺恨を残さない、そんな世界観は観ていてとても爽やかである。
1つも見逃すな!史実に繋がる細かな描写がいたるところで出てくるぞ
1話でチーム〈スピカ〉のウマ娘たちが”日本一のウマ娘とは何か”の問いに答えるシーンがある。ここでの返答は史実と関係したものとなっている。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
このシーンでゴールドシップは「G1制覇」、ウオッカは「ダービー」、ダイワスカーレットは「有馬記念」、サイレンススズカは「見ている人に夢を与えられるようなウマ娘」と答えている。競馬ファンなら分かるだろうか?この他にもアニメ全編を通して史実に絡めた描写がいくつも出てくる。本編を観ながらそのシーンを探すのもウマ娘の魅力の1つだ。
物語の主軸となったスペシャルウィークとサイレンススズカを繋ぐもの
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
TVアニメでは「良き友人」であり「良きライバル」の2人だが史実ではレースで一緒に走ったことも、関わったこともない。だがこの2人を繋ぐ1人の騎手が存在する。日本競馬界屈指の名ジョッキー・武豊騎手だ(アニメでは解説者に本人役で登場)。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
武豊はスペシャルウィークで出走15回(9勝)、サイレンススズカで7回出走(5勝)している。サイレンススズカの大逃げの素質を見抜いて開花させたのは武豊である。
1998年天皇賞(秋)にも騎乗し「沈黙の日曜日」でサイレンススズカを喪うが、サイレンススズカが記録的なタイムを出す速度で走りながらも最後まで転倒せず振り落とさなかったことで武豊は無事だった。それでもレース後の落胆ぶりは相当なもので、普段は酒をほとんど飲まないことで知られていた武豊はこの日、泣きながら酒を痛飲して泥酔、その姿を複数の一般人に目撃され、武豊本人も後に人生で初めて泥酔したと振り返る。
翌年の1999年天皇賞(秋)にスペシャルウィークに騎乗し、逆襲のランで勝利する。この時の武豊は記者に「最後はサイレンススズカが背中を押してくれた」という言葉を残し、サイレンススズカとスペシャルウィークを繋ぐ大きなドラマを競馬界に残した。
競走馬に関わった全ての人の代弁者
本作において最も重要な登場人物がいる。それがチーム〈スピカ〉のトレーナーだ。本作はスマートフォン向けゲームからのメディアミックスコンテンツのため、アニメに登場すトレーナーは本来ゲームプレイヤーにあたる。そのため本作のトレーナーは最後まで名前を伏せられたままである。
出典:©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
ウマ娘は騎手が居ない世界で彼女たちは自分たちの意思で走る。一方で実際の競馬には調教師、厩務員、馬主、調教助手、騎手、さらには夢を託した競馬ファンなど多くの人が馬には関わる。それらの想いが集約された存在がトレーナーであり、ウマ娘たちのそばにいる人間として描かれている。彼の気持ちに共感した視聴者は放送当時とても多かった。
【キャスト】
スペシャルウィーク:和氣あず未/サイレンススズカ:高野麻里佳/トウカイテイオー:Machico/ウオッカ:大橋彩香/ダイワスカーレット:木村千咲/ゴールドシップ:上田瞳/メジロマックイーン:大西沙織/トレーナー:沖野晃司/東条ハナ:豊口めぐみ 他
【スタッフ】
監督:及川啓/シリーズ構成:石原章弘(Cygames)・杉浦理史/キャラクターデザイン・総作画監督:椛島洋介/美術:草薙/撮影監督:並木 智/色彩設計:中野尚美/3D監督:市川元成/編集:高橋 歩
©2018 アニメ「ウマ娘プリティーダービー」製作委員会
視聴可能なVODはこちら
31日間無料トライアル実施中
アニメ、映画、ドラマの動画が見放題
【初回申込で30日間無料お試し】TSUTAYAのDVDネット宅配レンタル
初回31日間無料!月額400円で2,500作品以上のアニメが見放題!